DV被害の妻から伝えたい身近なDVの現実

DV被害の妻から伝えたい身近なDVの現実

配偶者からのDVを3人に一人の女性が経験しているとご存知ですか。DVは決して他人事ではありません。3年間DVを受けた体験から、被害者が自ら抜け出すことの難しさ、周囲の目の大切さを痛感しています。

社長がDV/ストーカーに遭ったらどうなるか

社長がDV/ストーカーに遭ったらどうなるか

社長とDV・ストーカー被害とが結びつかない方、多いと思います。が、世の中では1人社長が増えているのです。個人事業の法人成り、ですね。節税や信用力の獲得のために、法人成りする人って結構多いのです。かくいう私も、全然儲かっていないにもかかわらず、取引先から法人でないと仕事を依頼しづらいと言われ、法人成りしました。当時はまさか、DVで別居して夫に住所を知られたら困る日が来るなんて、想像もしなかったのです。

  

登記簿で住所がだれでも見れる状態に

ということで、社長がDVあるいはストーカー被害に遭った場合、どんな面倒が待ち受けているのか。「シミュレーションしてみました」と言いたいところです。が、自分でやってしまいました……。

法人を作ると、登記簿という社長の個人宅や会社の住所の載った書類を、誰でも取得できるようになります。会社というのは、世の中に対して開かれたものであるという考えから、会社の住所と、社長や役員の住所が明らかにされてしまうわけです。

この時点で、女性だと法人設立を思いとどまる方も多いのではないでしょうか。男性でもそうかもしれません。知りもしない他人が自宅を特定できるようになる。これは結構怖いことです。実際、会社を登記した後、DMが自宅に届くようになりました。ついでにいうと、携帯に営業電話がかかってくるようになりました。これは登記簿ではなく、年金事務所が名簿会社に開示してくれたおかげなのですが。

 

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私の場合、結婚して夫と同居していたので、登記簿で住所が公開されることへの不安は、一人暮らしの女性に比べるまだマシだったのかなと思います。住所の公開と法人化のメリットを天秤にかけて、やっぱり仕事をとりたくて、法人化したわけです。

 

DV、別居で法人口座にアクセス不能

法人設立後、私は夫からのDVで気も狂わんばかりになり、別居します。別居と言えば聞こえがいいですが、身一つで家から叩き出されたわけです。警察署に駆け込んだものの、さすがに保護まではしてもらえないので、そこからは安宿を泊まり歩く日々でした。

行政から、あなたは支援対象にならないと言われてしまいます。これは、私が仕事をしているし、口座に残高がそれなりにあるから。加えて、相談した時点で、夫と離婚するつもりがなかったからです。通帳とカードをすべて夫が持っているにもかかわらず、名義は私なので、私はお金があるんだそうです。

 

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この時期はひたすら過去にためたポイントを切り崩し、宿を渡り歩きました。荷物は、家を出たとき持っていたリュック一つ。知人にDVの相談をしに出かけたらそのまま「お前なんか戻ってくるな」と追い出されたので、着替えも何もなしです。その日の最安値の宿まで歩いていき(交通費の節約のためです)、毎晩流しで洗濯をし、チェックアウトの時間ギリギリまで滞在して、次の宿のチェックインまで公共施設に長居する。毎日が極限状態でした。

 

計画外の特別定額給付金で住民票を移す

ただ、問題だったのは、この極限状態を脱した後だったのです。私はエレなし高層階にある格安の賃貸物件を見つけ、入居を決め、引っ越しました。夫に住所を特定されたくないので、住民票の移動はしないつもりでした。

が、くだんの特別定額給付金の話が舞い込むわけです。世帯主への交付なので、夫と世帯が一緒のままだと、確実にもらえません。私は自分の既存の口座にアクセスできないので、お金はのどから手が出るほど欲しいです。世帯分離と住民票の移動をすれば受け取れると気づき、本当にギリギリのタイミングで手続きしました(すごく焦って時間のない中手続きしたのですが、いまだに振り込まれる素振りはないですね…)。

ただ、普通に住民票を移すと、夫が住民票を閲覧すれば私の転居先がばれてしまいます。そのため、DV被害者やストーカー被害者が受けられる住民票の閲覧制限の支援措置を受けたわけです。

 

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登記簿は変更せず、でも口座も作れず

が、ですよ。住民票と戸籍謄本は閲覧制限をかけられるのですが、登記簿謄本はその性質上、閲覧制限なんてかけられないのです。うわ、これどうするんだと。役所で住民票を移す前にそのことに気づき、法務局に問い合わせました。法務局の回答は、新住所に移す必要はない。つまり、会社の登記住所も、社長の個人宅も、最初に登記したもののままでいいと。

ただ、これだと問題が生じます。新たに口座を作る場合、銀行は通常、登記住所にキャッシュカードの類を届けます。そのため、せめて登記住所は、私がアクセス可能な住所に移す必要があるわけです。とはいえ、今の自宅にするわけには絶対にいきません。かといって、登記可能な事務所を借りると毎月結構な額になります。

というわけで、私はいまだ、新しい口座を開設できません。何が問題かといって、仕事をして支払われる対価がすべて、夫が押さえている口座に入ってしまうのですね。したがって、いくらせっせと働いても、お金は入ってこないのです。しかし、仕事が来なくなると、離婚が成立した後に自活できないので、働くしかありません。

 

社会的弱者が社長になることを想定したしくみじゃない

思うに、法人登記のしくみというのは、社会的弱者がやることを想定していないのですね。社長になるのが、おじさんばっかりの頃はまだこれで良かったのかもしれません。でも、女性も含め、社会的に弱者になり得る人まで起業している今、法人登記のあり方はこのままでいいのでしょうか?

国は起業を勧めていますし、今後、税制の変更があるので、個人事業を法人化する流れは一層強まるはずです。社長がDV被害に遭ったり、ストーカー被害に遭ったりすることは、珍しくなくなるはずです。たぶん、私はすでにレアケースではないのです。

 

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