DV被害の妻から伝えたい身近なDVの現実

DV被害の妻から伝えたい身近なDVの現実

配偶者からのDVを3人に一人の女性が経験しているとご存知ですか。DVは決して他人事ではありません。3年間DVを受けた体験から、被害者が自ら抜け出すことの難しさ、周囲の目の大切さを痛感しています。

DV被害者になって初めて気づいたこと――穴だらけのセーフティネット 給付金支給の圏外で思う

DV被害者になって気づいた穴だらけのセーフティネット


一律10万円の給付金の支給が話題です。別居中のDV被害者で、住民票で夫と同居したままの私は、果たしてもらえるんでしょうか?多くのDV被害者が同居、別居に関わらず、同じことを考えていると思います。世帯主に支給されたら、そのお金が被害者に渡されることは、まずないからです。

世の中のしくみは、DV被害者に全然優しくない。DV被害に遭い、家にいられなくなって初めて、気付きました。国の調査によると、女性の13.8%、つまり7人に1人は配偶者から何度も暴力を受けたことがあるのです*1。あなた自身や、あなたの身内、友人、知人が被害に遭ってもおかしくない。というか、知っている人の中に必ず、被害者と加害者がいると思っていいでしょう。これだけ多いのに、DV被害者が状況を変えるためには、相当苦しまないといけない。被害者の思いをくじくようなしくみのままで、いいのでしょうか?

給付金がもらえるかどうかはまだ不明

5月中に給付が開始されるという10万円の給付金は、DV被害者にも配慮するとのこと。ただ、具体的にどうするのかは不明です。申請はネットや書面の郵送でするとも言われます。

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DV被害者の場合、通知書面は世帯主宛に届くでしょう。その書面に従って手続きするのでしょうから、私のように別居中の被害者や、経済的DVを受けている被害者は受け取れないと思うのです。書面での手続きが進む横で、私のような被害者が役所に電話で訴えても、そもそも役所の情報から漏れている人なので、効果があるようには思えません。

お役所がDV被害者に配慮するのは、相当難しいらしいと、経験から痛感しています。

仕事をしていると ほとんどの支援が受けられない

これは、私自身が行政から支援を受けられないかと考え、いろいろ尋ね、相談して出た結論です。使えるものなら使いたかったシェルターは、加害者から場所を特定されないよう、携帯電話やパソコンの持ち込みが制限されます。そのため、仕事をしていた私は利用するわけにいきませんでした。これは致し方ない面もあります。

経済面の支援も、収入があり一定の貯金があると、受けられません。私の場合、口座をすべて夫が押さえていて、私の名義でありながら、出入金ができません。ですが、口座に貯金はあるので、支援を受けられないのです。

また、できるだけ遠くに行くべきだと言われました。でも、仕事を持ったまま、行けますか?身の安全が高まったとしても、食べていくすべがなくなったら、本末転倒だと思うのです。

収入と貯金がある人は支援がいらないのか

今のDV被害者支援のしくみは、専業主婦やパートタイマーなど、仕事を辞めたり居所を変えたりしやすい人向けに、昔作ったままなのでしょう。いざとなったら、子供と荷物を抱えて逃げる――ということができる人しか、支援対象にならないと感じます。

仕事をしている。だから、そんなに簡単に遠くに行けない。収入と貯金は最低限ある。でも、ホテルに泊まり続けるお金はない。こういう人を支える仕組みが、欠けているのです。確かにこういう人は、放っておいても、餓死することはないでしょう。でも、生活を維持しつつ、加害者から逃れるために、身を削り苦しんでいるはずです。

相談窓口は平日の日中だけ

行政の相談窓口の多くは、平日の日中しかやっていません。支援を受けるには、市町村の相談窓口に行く必要があります。DVは加害者が家にいる時間に起きるので、当然ながら夜間と休日が多いはずです。実際、私が相談窓口に電話するのはいつも休日か夜。営業時間を知らせるアナウンスに何度絶望を募らせたかしりません。

29日からようやく24時間受付の窓口ができるようです。チャットやメールでの相談もできるようになりました。

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セーフティネットからこぼれ落ちる被害者については、こちらの記事もご参考下さい。

 

dvdiary.hatenablog.com

世間が許容するから加害者は暴力をふるう

DVは男性による家族の支配が世間で許容されるために起こり、野放しにされます。男性による女性や子供の支配を認めない人もいるでしょうが、加害者はそうすることが正しい、あるいは少なくとも許容されると考えています。加害者は世間体を気にします。DVを許容する下地が社会にあるからこそ、そこに付け入り、暴力をふるうのです。

DVは許されないことだと胸を張って言える人は、今の日本にどのくらいいるでしょうか……。

被害者にとって今の家は最も危険な場所

今はDV加害者が最も荒れる時期です。私の夫もそう。別居していても、怒りの波で私を圧倒しようとしています。

もし身近にDVの気配を感じたら、空振りであってもいいので、行政の支援窓口に相談したり、急を要する場合は警察に通報してください。これは、私が夫と同居していたとき、隣人にしてほしかったことです。残念ながら、ついぞそうしてはもらえませんでした。

私は、なんとか家を出ることができ、少なくとも身体的な暴力は受けない環境にいます。被害者にとって、家は最も危険な場所です。今、日ごろよりずっと危ない場所になっています。周りから、救いの手を差し伸べてほしいのです。

 

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