DV被害の妻から伝えたい身近なDVの現実

DV被害の妻から伝えたい身近なDVの現実

配偶者からのDVを3人に一人の女性が経験しているとご存知ですか。DVは決して他人事ではありません。3年間DVを受けた体験から、被害者が自ら抜け出すことの難しさ、周囲の目の大切さを痛感しています。

DV被害者に必要なのは加害者に干渉されない時間

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DV被害者が加害者から抑圧された状態を脱するには、加害者と離れ、冷静になる必要があります。ですが、往々にして被害者が離れたがらなかったり、あるいは離れるのをあきらめていたりするので、両者を引き離すのは容易ではありません。加害者と離れるのが重要なこと、でも被害者にそう決断させるのは容易でないこと、周囲からの支援が必要だということを、多くの方に知ってもらいたいのです。

放したがらない加害者と離れたがらない被害者

被害者は、加害者の考え方を内面化して自分を責めたり、加害者からの精神的、肉体的あるいは経済的な暴力によって、正常な判断が下せないことがよくあります。被害者が逃げない理由は、「DV被害者はなぜ逃げないのか」にまとめていますから、ご参考下さい。

dvdiary.hatenablog.com

 私自身、夫と同居していた時は、精神的に限界に近く「離婚した方がいい」という身内からのアドバイスに「うん」と言いませんでした。「夫は直るはずだ」とかたくなに信じていたからです。

今になって思えば、夫がDVをやめる気がないのは明らかでした。そもそもDVで離婚騒ぎに発展するのは、夫にとっては私で2人目です。加えて、私が何度言っても、加害者更生プログラムに行こうとしませんでした。

挙句、「酒をやめる」と的外れもいいところの誓いを勝手に立て、それで満足しない私の方が問題があると言い立てました。夫は確かに酒を飲んだうえで暴力をふるいました。ですが、そもそも晩酌は毎日のことであり、DVをしてもいいという価値観は、お酒とは関係なく夫の頭の中に根をおろしているものです。今でも、私の預金通帳を取り上げたまま。禁酒を続けているのかどうか知りませんが、考え方は何一つ変わっていません。

DV加害者は、残念ながら話せばわかる相手ではないのです。

離れなければ加害者は更生しない

自分の身内や友人、知人がDVに遭ったと知ったとき、おそらく多くの方が離婚を勧めるのではないでしょうか。ですが、多くの被害者は助言をすんなり聞き入れないと思います。被害者を説得することは、疲れる、長い道のりになるかもしれません。

離婚するかどうかはさておき、被害者が加害者から離れる時間が必要なことは、間違いありません。一緒にいる限り、加害者からの抑圧が解けることはないからです。そして、離れることは、被害者が期待し続けている加害者が更生する可能性を、わずかながらに生むことでもあります。

アメリカで加害者更生プログラムを手掛けるランディ・バンクロフトは、加害者が自ら変わろうとすることはほとんどないと著書『DV・虐待加害者の実態を知る』で述べています。アメリカの場合、加害者が変わろうとするのは、裁判所から命令され、加害者更生プログラムを修了しなければ妻と会えない場合や、妻に出ていかれた場合なのだそうです。

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とはいえ、加害者が更生するのはかなり困難だそうです。DVは病気ではなく、考え方や価値観の問題だから。数十年にわたってどっぷり浸かってきた考えを変えることは、そうそうできるものではありません。挫折したり、うわべだけ反省したかのように装って切り抜けようとする加害者が少なくないそうです。

夫の支配から逃れて見える世界が変わった

私は夫と離れてから、身内や警察、弁護士に相談に乗ってもらいながら、自分の生活を考え直しました。

地元の弁護士会の無料相談を利用したとき、弁護士の方から「旦那さんと離れてから、いろいろ冷静に考えられる時間が出てきたでしょうから」と言われました。本当にその通りだなと思いました。同じ相談に行くにしても、同居していたときだったら、支離滅裂な、相談なのか愚痴なのか分からない相談になっていたと思います。夫の支配から一歩出ると、こんなに世界が違うんだと今、感じています。

私自身、離れた方がいいとアドバイスされながら、夫のもとに戻ったりして、身内には大変な迷惑をかけました。そんな頼りない私を見捨てずに支えてもらえたからこそ、今こうして夫の気配を感じずに生活ができています。ありがとうとごめんなさいを両方、これからもずっと伝え続けないといけないですね。

もし、あなたの大切な人がDVに苦しんでいたら、寄り添ってあげてほしい、支えてあげてほしいと思います。