DV被害の妻から伝えたい身近なDVの現実

DV被害の妻から伝えたい身近なDVの現実

配偶者からのDVを3人に一人の女性が経験しているとご存知ですか。DVは決して他人事ではありません。3年間DVを受けた体験から、被害者が自ら抜け出すことの難しさ、周囲の目の大切さを痛感しています。

DVは価値観の問題――加害者は更生するのか

DVは価値観の問題――加害者は更生するのか


DV加害者の特徴をまとめます。私自身が、DV加害者である夫に別居後4カ月を経てもなお振り回されがちで、自戒を込めて書きます。

 

根っこから治さない限りDVは治らない

DVは価値観の問題です。加害者は被害者に手を上げてもいい、被害者は加害者の言うことを聞くべき、自分に付き従うべき、被害者のやることは管理するが、被害者が自分を管理するなどもってのほか……といった、とてつもなく自分に都合のいい価値観を持っています。加害者に男性が多いのは、社会に男尊女卑が根強くあり、男性が女性を抑圧することへの抵抗感が少ないからです。

加害者は数十年をかけて、加害者たる価値観を獲得します。これを治すのは、容易なことではありません。

私の夫は40代前半。初めて女性に暴力をふるったのは10年ほど前だと主張しています。もっと前からではないかと疑っていますが、仮に本当にそうだったとして、暴力亭主になって既に10年。初婚はDV離婚、再婚(今)もDV別居。DVを治すと宣言し、DVについてのブックレットも読み、治すと息巻いています。が、自分で治すと言っているだけで、価値観は1ミリたりとも変わっていないようです。

 

更生の試みはほとんど失敗する

認めたくないことですが、これが現実だといいます。日本と違って加害者更生プログラムが発達しているアメリカであっても、更生するのは参加者の一握りだそうです。加害者自身が更生するという強い意志を持ち、自らプログラムに参加することを志願する場合に限り、更生の可能性があるとのこと。ただ、強い意志を持って臨んだはずが、挫折する人も多いのだそうです。

日本のDV被害者支援は、基本的に離婚を前提として設計されています。加害者更生プログラムは民間で運営されていて、国としてはノータッチです。

別居当初、私は離婚を望まなかったため、支援の網の目から漏れ、悔しい思いをしました。その時は、「離婚する夫婦ばかりじゃないだろうに」と思いました。

ただ、現実として、DVに離婚以外の解決策がほぼないのも事実です。ほとんどの加害者が更生しないのに、夫婦に関係の再建を勧めるというのは、無責任な話です。

 

我流でDVを治すのは無理

私の夫がこれです。パーソナリティ障害で、その治療は受けていますが、DV加害者プログラムへの参加はかたくなに拒否します。DV治療に専門性のありそうなクリニックを調べても、却下。精神障害の治療をする病院の多くは、DV加害者治療のノウハウに乏しいそうです。DVからの更生は、専門家に導かれても失敗することが多い世界。専門でない医者やカウンセラーの治療を受けても効果は乏しいのです。

「自分で治す」と宣言するDV加害者、それを信じる被害者が多いそうです。が、成功せず、被害者にとってはむしろ傷口を広げることになるので、加害者を妄信してはいけません。

乱暴な例えかもしれませんが、加害者はそもそもが暴力、暴言をふるう仕様にできていると思う方がいいのではないでしょうか。つまり、DVをやめるには相当な抑制が必要です。暴言を吐きたい、暴力をふるいたい、相手をバカにしたい、相手の上に立ちたいという、もともとの仕様に根差した欲求を、抑え込まなければならないからです。

恐らく「DV加害をしたい」という欲求は、治療を経ても消えないのではないでしょうか。欲求を理性でどこまで抑え込めるか……の問題な気がします。

 

「DVをやめた」がDVのことも

DVは蓄積期、爆発期、安定期(ハネムーン期)を繰り返します。加害者がストレスをため込み、暴言、暴力などで爆発させ、打って変わって優しくなるという定番の無限ループです。もともと「ハネムーン期」という言葉を使っていましたが、加害者によってはそこまで優しくならないけれども、ほかの時期に比べればマシというレベルのこともあり、あまり使わない方向になっています。

被害者が家を飛び出した場合、加害者が強く反省し、あるいは反省したふりをし、「もうDVは絶対にしない」と言うことがあります。ただ、これは爆発期の後の安定期に入っているにすぎません。また蓄積期を経て爆発期を迎えたり、場合によっては被害者が家に戻った途端、それまで以上にエスカレートしたDVが始まるそうです。

 

進むも地獄、退くも地獄と腹をくくる

DVは進むも地獄、退くも地獄です。離婚となると加害者は抵抗するはずだし、DVが治らないまま関係を修復しても、被害者が苦しむだけです。

最近の私はというと、「間違った相手を選んだだけで、なぜ自分がこんな目に遭わなきゃいけないんだ!」と悲憤にくれたかと思えば、加害者からの甘い言葉にコロッと騙されそうになったり、加害者のとにかく自分が正しいという主張に反論しようとして気が狂いそうになったり。とにかく、感情の浮き沈みが激しく、精神的に休みがない状態です。

これでは加害者の思うつぼ。被害者に必要なのは、とにかく加害者と距離をとること、安全な場所に避難することです。

 

 

 DV加害者を徹底解説した書籍です。私は別居前にこの本に出会いました。人に相談できなかった分、私の疑問とそれへの回答が書かれていた本書に、救われました。アメリカ人カウンセラーのランディ・バンクロフトが加害者の思考回路や行動様式を明かしつつ、追い詰められがちな被害者を励ましてくれます。

経済的DVにある方も、図書館の男女共同参画コーナーにだいたい置いてあるので、ぜひ手に取ってみてください。訳者も日本のDV被害者支援の第一人者で、文章がとても読みやすく、最後の訳者による解説も参考になります。

DV・虐待加害者の実体を知る

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