パーソナリティ障害を治すのは「君とのためだけだ」と言う夫
自己愛性パーソナリティ障害と診断された夫の話です。治療する理由について「自分は社会生活上、この人格で困ったことはない。治すのは妻との関係をやり直したいという、それだけが理由だ」と、クリニックで宣言したのだそうです。これを聞いたら、私が感動すると思ったのでしょうか。夫は芝居がかった言葉の選び方や話し方を好みます。これを言った時がまさにそんな感じで、自分では「決まった!」と思っているようです。私にはむしろ、私さえ耐えられれば、人格をそれ以上変えるつもりは一切ないという宣言に聞こえるのですが……。
「重度ではない」と自慢する
夫は、自己愛の形が未熟なために、他者を見下し、異常に高いプライドを持っていて、他罰的です。親しい人つまり家族とは、支配するか、支配されるかの関係しか築けません。初顔合わせで自分の母親にグラスワインを浴びせかけ、父親の顔面を殴り、私を押し飛ばそうとしました。そのしばらく後で、酔っぱらって赤の他人とケンカし、車を蹴って騒ぎを起こし、帰宅後に私を突き飛ばして殴りつけてから、暴力が止まらなくなりました。
DVの治療に行ってほしいと半年以上前に言いましたが、今に至るまで行っていません。1ヶ月ほど前にパーソナリティ障害ではないかと指摘したら、そちらはあっさり診断に行きました。「重度ではないと言われた」と、さも私が喜ぶだろうという感じで言ってきます。私にとって、度合いは問題ではなく、夫の存在そのものが問題です。夫が重度でないとしたら、夫よりももっとひどい程度の人がいるということですね。それは私には想像できないし、知りたくありません。
DV加害者だから問題なのに
でも、パーソナリティ障害で重度であっても、重度のDV加害者とは限らないと思うのです。夫は私を殺しかねない暴力のふるい方をしました。頭部裂傷とか、眼球打撲とか、骨折の疑いでレントゲンやCTを撮ったのも、一度や二度ではありません。加害者として、私にとっては最悪でした。(「あなたの被害は深刻ではないから、行政の支援は受けられません」と電話口であっさり決めつける行政の相談支援の方も、いらっしゃいましたが……)
私からすると、パーソナリティ障害が重度かどうかは問題ではありません。DV加害者である夫が問題なのです。
いつも難癖をつけて殴る、蹴る。これ以上ひどいというのは、考えられません。夫が最悪なのです。
加害者更生プログラムの存在を忘れている
「あなたはDVの治療に行っていない。加害者更生プログラムに参加したらどうかとずっと言ってきた。お金がかかるから行かないの?DVを治すつもりがないじゃない」と言いました。そしたら、「そういうものがあるのを、今思い出した」と。どういう頭のつくりになっているのでしょうか。こんな大事なこと、忘れられるのでしょうか。それで「治療を受けるのは君のためだけだ」とか、よく言えますね。
夫は、仕事上でも自己愛性パーソナリティ障害の特性をいかんなく発揮します。つまり、目上の人には気に入られるようにせっせと努力し、気に入らない人間は散々けなして喧嘩別れします。目下だとみている女性への当たり方は、相当きついです。こういう性格のために失った関係や仕事は相当多いのです。それなのに「社会生活上、この人格で困ったことはない」なんて。理解不能です。
自己愛性パーソナリティ障害者と付き合うのは恐ろしく向いていない
私は自己愛性パーソナリティ障害の人と一緒にいるには、かなり向いていないと思います。怒りを感じたり、ストレスをためても、爆発はせずに、徐々に蒸発させるタイプです。昔から、怒る人は嫌いで、できるだけ人に怒りたくない、争いごとは起こしたくないと思っています。そのとき抱えているストレスを無関係な人にぶつけるのは、絶対に嫌です。
私が嫌だと思っていることを、見事に全部やるのが夫です。それで、私が夫にどう向き合ったかというと、ひたすら受け入れ、振り回されました。たとえ症状が治療で緩和したとしても、私といる限り、夫が人格を治す必要性はないと思います。
それにしても、田舎芝居の役者がかったセリフの決め方は何なんでしょう。これもパーソナリティ障害と関係があるのでしょうか。そう考えると、義母も非常にそんな感じがあります。とんでもない一家に引っかかってしまいました。