ホームレスの男性を心底気にかける夫
夫のことは本当に良く理解できません。歩いていてふと、そんな中でも特に理解できなかった一面を思い出しました。
「家賃や治療費を出してもいい」
夫と暮らした街には、ホームレスの男性がいました。寝泊りは、野宿かネットカフェだと思います。身の回りのものを袋に入れて、公共スペースに立ち止まっているのを夫はよく見かけたそうです。このおそらく30代半ばの男性を私はほとんど見かけませんでしたが、夫はよく出会うようで、会うたびに今日彼はこうだったと話していました。
彼がどうやら病気にかかったようだと、ある日夫が言いました。痩せているのにおなかがすごく膨らんでいる。腹水じゃないかと。自分は彼の家賃や治療費を出してもいいと思っている、と。
夫のことを良い人なんだなと感じました。同じように見ていても、何もしようとしない人がほとんどだと思うので。
一方でなぜ家族を殴るのか
ただ、私はあまり夫に感情移入できませんでした。ホームレスの男性にそんなに心を寄せるのに、なぜ私にはまったく共感しないんだろう。なぜ妻を殴ったり蹴ったりして平気なのに、その男性のことをそんなに助けようとするんだろう。……こう感じてしまったからです。
久々に、そのことを思い出しました。夫には純粋で良いところもあります。ただ、家族となると、罵倒と暴力で支配しようとします。義父を私の目の前で殴った数か月後に、私も初めて殴られ、それから暴力の程度と頻度は上がり続けました。私がどう振る舞ったところで、DVに遭うのは時間の問題だったのです。
横殴りの雨でずぶぬれになりながら、人間って哀しいなと独り言ちました。
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