DVは「民事不介入」じゃない ―ボビー・オロゴン釈放のFRIDAY報道を読んで
ボビー・オロゴンのDV報道を見て、悔しいことはたくさんあります。中でも、信じられなかったのが、FRIDAYデジタルの5月20日の「『妻へのDVで逮捕』 ボビー・オロゴンがそれでも釈放されたワケ」という記事。
暴力に「民事不介入」と全国紙記者が放言
全国紙記者の発言として、下のような引用があります。
逮捕当日の時点で、釈放前提で捜査が進められていた。奥さんに目立った外傷はなく、ボビー容疑者が酒やクスリでおかしくなっているわけでもなかった。『民事不介入』という言葉があるように、これは夫婦間トラブル。
これは間違えです。私が警察にお世話になったとき、「昔は民事不介入と言っていたけれど、今はそういう時代じゃない」とはっきり言われました。民事不介入と言って警察はDVを遠ざけていたけれど、それでは被害が防げないからDV防止法ができたのではないですか。
DVに関しては、警察は民事不介入ではありません。暴力沙汰でないと、警察が介入しにくいのは確かです。でも、暴力の事実があれば警察は動いてくれます。
誤った印象を与える記事を載せてほしくないのです。不勉強なまましたり顔で発言した全国紙記者と、無責任にもそのまま載せた執筆者に怒りを感じます。
警察はDVがあったら動いてくれる
暴力があった場合、ボビー・オロゴンのように現行犯であれば、逮捕できます。その場で通報できなくても、被害者が被害届を出し、捜査を進めてもらうこともできます。できることが限られるのは確かです。でも、警察で対応できないことは裁判所や行政の相談窓口、弁護士など、相談先を紹介してくれます。
ボビー・オロゴンの妻が自ら通報するまでには、相当な葛藤があっただろうと思います。「長年にわたりDVを受けていた」と報道陣に告白しています。
年齢差や収入を考えれば、夫婦間に圧倒的な上下関係があっただろうことは、想像に難くありません。世間の関心は移ろいやすいもの。でも、彼女の一歩を踏み出そうとする行動が実を結ぶことを、私はずっと祈ります。
マスコミはDV加害者の量産に一役買っている
配偶者からのDVを、女性のおよそ3人に1人が経験しています。特に女性はいつ被害者になってもおかしくない状況です。男性誌とはいえ、責任ある報道をしてほしい。ただでさえマスコミは、男尊女卑の意識のバラマキで、DV加害者の量産に貢献しているのですから。