DV被害の妻から伝えたい身近なDVの現実

DV被害の妻から伝えたい身近なDVの現実

配偶者からのDVを3人に一人の女性が経験しているとご存知ですか。DVは決して他人事ではありません。3年間DVを受けた体験から、被害者が自ら抜け出すことの難しさ、周囲の目の大切さを痛感しています。

DV被害者がブラック企業の被害者の相談に乗る―抑圧者の考えを内面化する辛さ

DV被害者がブラック企業の被害者の相談に乗る

なんだか世も末なタイトルですが、実際にあったことなのでご容赦ください。夫のDVに耐えかねて家を出た後も、夫との復縁を望んでいた私。考えを大きく変える出来事がありました。それは、ブラック企業に勤めている知人の退職の相談に乗ったこと。知人は、週7日残業までして(信じがたいことに日曜も出勤していました)、手取りが10万円とちょっと。生活の足しにすらならず、預金残高があと数百円で完全にメンタルを病んでいました。にもかかわらず、会社に退職を拒否され、せっかく内定をもらった転職先に断りの電話を掛けるという、私からすると理解不能な行動に出ます。あまりのダメっぷりに呆れると同時に、自分のダメさ加減にも思い至ったのでした。

 

被害者は理不尽な「お前はおかしい」を真に受ける

DV被害者は、加害者からずっと理不尽なことを言われ、「お前はおかしい」と批判され続けます。そのため、普通に考えたら明らかに加害者が悪いことでも、「悪いのは自分かもしれない」と思ってしまいがちです。

 

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夫が必ず私を殴る恒例行事がありました。それは、夫の知人との飲み会です。周りはお酒を飲む人ばかりで、飲まないのは私だけ。必然的に、私が会計をすることになります。そのやり方に、帰宅後いつも文句を言われ、殴られました。

性別や飲むか飲まないかで傾斜をつけると、夫はその差額がおかしいと言います。ところが、言われた通りにしても、やっぱり文句を言われます。会計をしないと文句を言われ、「私の方でやりますよ」と積極的に引き受けても罵られました。

加害者はけなしたくてけなす

夫と同じ飲み会に出るのは、苦痛でした。真剣に自分のやり方が悪いのだろうかと思っていたのです。今思えば、ばかばかしい話。でも、被害者は「加害者がけなしたいからけなしている」とは思わないのです。加害者は自分のおかしいところを正そうとして言ってくれているはずだと思い込みます。

普通のパートナーだったら、相手を傷つけるために理不尽なことを言い続けたりはしません。相手のためによかれと思うことをするはずです。加害者をそういう普通の人のはずだと思ってしまうのが、間違いの始まりです。加害者が言うことは正しいはずなので、自分が間違っていることになってしまいます。

その時々で自分に都合のいいことを言い、相手を自分に都合よく振る舞わせようとする加害者を必死に理解しようとして、被害者は徐々に壊れていきます。加害者の主張と要求を理解し、先回りして考えようとして、加害者の考え方を内面化してしまうのです。「洗脳」と言ってもいいかもしれません。

加害者のせいで被害者の考え方までずれていく

こうなると、被害者の考え方は世間一般からどんどんずれていきます。周りから見たら、どう考えても離別しかないのに、同居を続けようと私は思ってしまいました。

そこにブラック企業に洗脳されたうえ、メンタルが私以上に参っている知人が登場し、「こいつはやばい」と思うと同時に「でも、自分も似たようなものかも」と思い至ったのです。

殴られて、頭部裂傷に眼球打撲、あわや骨折というケガを何度もしながら「離婚しない」と言い張っていた自分。たぶん、はたから見たら、自分もこのブラック企業から抜けられない知人も似たようなものだなと、一歩引いて考えることができました。

大切なのはできるだけ早く離れること

抑圧者の考え方を内面化した状態から自由になるには、ともかく一度離れることが大切です。離れる時間が長くなればなるほど、本来の考え方、自分らしい考え方を取り戻せます。

今抑圧されている人には、一刻も早く離れてほしいです。抑圧者とずっと一緒にいると、今は相談に乗ってくれる人たちも、「この人には何を言ってもダメだ」と離れていく可能性が大きいですから。

人生を取り戻すには、早いに越したことはありません。現状維持は楽な面もあります。でも、いっとき楽するために、人生を棒に振っては何のために生きているのか分からないと思うのです。

 

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