DV被害の妻から伝えたい身近なDVの現実

DV被害の妻から伝えたい身近なDVの現実

配偶者からのDVを3人に一人の女性が経験しているとご存知ですか。DVは決して他人事ではありません。3年間DVを受けた体験から、被害者が自ら抜け出すことの難しさ、周囲の目の大切さを痛感しています。

もしDV被害者に相談されたら してほしいこと四つ、してほしくないこと六つ

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日本では女性の3人に1人が配偶者からの暴力を経験しています。地域によってはもっと多いところもあるようです。実は、あなたの周りにもDVの被害者や加害者がいる。多くの被害者が誰にも相談しなので、周囲が気付いていないだけなのです。もしDV被害者が勇気をもって踏み出したら、つまり相談したら、どう受け止めてほしいか、自分の経験からご紹介します。

相談されたらしてほしいこと

○ 1.同じ目線で話してください

上から目線にならないで、同じ目線で話してほしいです。被害者は加害者から見下され、さげすまれて過ごしています。勇気を振り絞って相談した相手に同じ扱いをされたら、傷ついて、気持ちがゆらぐかもしれません。

○ 2.話を聞いてあげてください

愚痴や後ろ向きな話であっても、聞いてあげてください。被害者があなたに求めているのは、解決策の提示ではなく、単に聞いてくれることかもしれません。被害者にとっては、話すだけでも、気持ちの整理に役立ちます。

○ 3.最善だと思うアドバイスをしてあげてください

被害者は何をどうしたらいいか自分では判断しにくい状態にあるので、あなたが最善だと思うことをアドバイスしてあげてください。

○ 4.力になってあげてください

被害者は困窮しています。何かできることがあったら、力になってあげてください。

私の場合、一時的な避難先として身内が受け入れてくれたのに助けられました。ときどきご飯に誘ってくれたのも、涙が出るくらいありがたかったです。

今は時期が時期だけに直接会うのが難しいかもしれません。それでもSNSや電話でときどき気遣ってあげてください。DV被害者は加害者と同居しているなら、コロナウイルス流行の影響で普段よりストレスをためているでしょうし、別居しているなら孤独感を強めているかもしれません。

してほしくないこと

× 1.夫婦だから我慢しろと言う

我慢できないから相談しています……。そもそも、DVは人の尊厳を踏みにじる行為で、許されません。

× 2.あなたにも悪いところがあるんじゃないかと言う

被害者に欠点があったとしても、DVをする理由にはなりません。「コロナウイルスでDV被害がどうなっているか」でも書いたように、DVは加害者の問題です。

dvdiary.hatenablog.com

× 3.当事者どうしの問題だと言って関わろうとしない

私は電話口で義父にこれを言われました。義父は夫の前妻にも同じように言ったそうです。前と同じことが起こるべくして起こった、自分は関わりたくない。私はこう受け取りました。電話を切ってしばらく、怒りのあまり何もできませんでした。

私は別に仲裁してほしいと言ったわけではありません。とても一人では問題を抱えきれなくなって、自分でも何がしたいのか分からないような状態で、電話しました。後で思うと、ただ聞いてほしかったのです。言葉に詰まりながら、3年間暴力を受け続けたと伝えました。

義父は「それはすみません。でも当事者の問題だ」と。すみませんの後に、一拍もおかずに「でも」でした。こういうときに、あんな軽い「すみません」の言い方ができる人がいるとは。あのときの言葉は、一生耳から離れない気がします。

息子のすることに懲りていたのは分かります。結婚前から私の扱いがぞんざいだったのは、どうせこうなると予想されていたからでしょう。だからといって、3年間耐え続けて壊れそうになっている人間の訴えを聞く時間がないのでしょうか。

DVの相談は、はっきり言って、相当面倒だと思います。聞いて楽しいことではありません。相談される方まで疲れるような話です。でも、相談するのに被害者はかなり必死の決断をしています。門前払いせず、せめて聞いてあげてください。

× 4.「べきだ」とか「べきでない」とか言う。自分の頭で考えず決めつける

「耐えるべきだ」とか「通報すべきだ」「離婚すべきだ」とか、べき論はやめてください。被害者の話をきちんと聞いて、何が起きているのかできるだけ理解した上で、被害者がどうしたらいいか一緒に考えてほしいのです。

× 5.DVの事実を信じない

加害者は人当たりがよく、人気者ということも珍しくありません。「え、あの人が」と思う人に限って加害者だったりします。私の夫もさわやかで気遣いができるともっぱらの評判で、私の身内もみな「DVをする人間だとは考えてもみなかった」と言っています。

ただ、身内に1人だけ、DVが始まる前から夫を疑っていた目利きがいます。つまり、DV加害者はよくよく気を付れば見抜くことができるので、このことについては後日お話ししたいと思います。

DV加害者は、DVをふるっている雰囲気を家の外ではおくびにも出さないのです。しかも、手を出すときは、ばれないよう、万全の対策をとっています。つまり、DVは感情が抑えられなくなってやるのではないのです。物を壊すときは妻の物だけを壊すとか、あざが見えにくい位置を狙って殴るとか、窓を閉めてから怒鳴ったり手を出したりする。

DV被害者にとっては信じたくないことですが、加害者は至極冷静に相手を殴っています。周囲には当然、ばれにくい。ですから、DVの加害者だとされた人が、とてもそんな人に見えなくても、被害者を信じてあげてください。

× 6.相談を受けたあなたがヒステリックになる

実体験としてこういうことがあって、困りました。大変な目に遭っているのは被害者で、そもそも気が狂いそうな状態なので……。被害者に共感することは大事ですが、あまり感情的になり過ぎるのも困ります。

 

被害者の話は、ともすると愚痴になったり、同じところをぐるぐる回ったり、加害者に期待しすぎだったりします。でも、イライラする前に、その人がどれだけ苦しんでいるか慮ってほしいのです。相談するのにさえ、かなりの勇気を必要としたはずです。ここでじゃけんに扱ったら、せっかくの一歩が三歩後退なんてことになりかねません。

私の場合、相談した身内や友人、相談員の方、警察の方に親身になって話を聞いて頂いたおかげで、徐々に穏やかな気持ちになれる時間が増えています。もし、その助けがなかったら、今のような生活はできなかったと思うのです。

 

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東京都知事にDVや虐待の被害者への支援を求めるキャンペーンが行われています。ご賛同頂ければ幸いです。

www.change.org