DV被害の妻から伝えたい身近なDVの現実

DV被害の妻から伝えたい身近なDVの現実

配偶者からのDVを3人に一人の女性が経験しているとご存知ですか。DVは決して他人事ではありません。3年間DVを受けた体験から、被害者が自ら抜け出すことの難しさ、周囲の目の大切さを痛感しています。

リアル貧困女子『証言 貧困女子』を読む

貧困女子『証言 貧困女子』を読む

中村淳彦監修『証言 貧困女子――助けて!と言えない39人の悲しき理由』を読みました。私はもともと正社員で、結婚を機に退職して契約社員になり、それもやめてフリーランスになりました。夫からのDVに耐えかね、家を出ています。読後感をつづります。

 作り物ではない、生の言葉にひき込まれる

コロナウイルスの影響で家にいる間、ネットを見過ぎて通信費が高くつくと嫌だからと書店を訪れ、ジャケ買いしました。900円税別なので、冷静に考えると、ネットを見過ぎて増額する通信費と、どっこいかもしれません。いずれにしても、クレジットカードで払っているので、あまり気にしていないんです。クレジットカードの引き落とし口座の残高は、怖いので見ていません。

買ってから気付いたんですが、当然ながら想定読者は、中年のおじさんです。なので、ちょっと風俗関係の話が多い印象です。女性たちの1人語りが、見開き2ページずつで続きます。短い文章にそれぞれの人生が凝縮されていて、ひき込まれました。作り物ではない、生の言葉が持つ力って、すごいですね。私の場合、第3章 介護女子の失意、第4章 高齢女性の自棄――が一番面白かったです。

同性だからかもしれませんけど、もっと深く、長く話を聞いてみたいと思いました。男性にとっては、これでちょうどいいのかもしれません。

監修者の狙いは、世の中の不公平さに憤りを感じてもらうことなのだと思います。ただ私の場合、読んで、頑張ろうと思いました。女性たちの話から、なぜなのか上手く言えないのですが、勇気づけられました。

自分が「貧困女子」だと読んで初めて気付く

読み始めるまで、私は自分が「貧困女子」だという認識はなかったんです。でも、ページをめくるうちに、自分の月の手取りよりも月給が高い人が出てきて「あれ」って。月給でいうと、正直、私の周りにいるほとんどの女性が「貧困女子」に区分されてしまいそうです。本書で紹介しているように女性の平均年収が男性の2分の1程度しかないのを考えると、女性は貧困と区分されて当たり前なのかもしれませんけど。

私自身には、この本で取り上げられている人ほど、鬼気迫るものはまだないですね。知り合いには、毎日残業しても手取りが11万円で、結婚式があって預金残高が600円しかなくなってメンタルが崩壊しかかっているブラック企業に勤めている子とか、職場でパワハラにあって退職し、その後の音沙汰が誰にも分からない子とか、病気を理由に契約社員を続けられなくなって療養中の40代の独身女性とか……。この本に載っていてもおかしくない人が結構います。

思い出したルームシェア時代

私は就活の時期に、都内でルームシェアをしました。地方にいて、都内の大手企業ばかり受けたので、いちいち上京するより、安い物件を借りる方が安かったんです。今は法律で禁止されている、一部屋に何人も詰め込むタイプのところで、女性専用でした。

8畳間に二段ベッド二つと、河川敷でホームレスの人が作る箱型の小屋みたいなのが二つあって、6人収容できる部屋でした。もともとおばあさんの家だったのを改修していて、狭いながらも個室もありました。同じ部屋にいた人は、契約社員がほとんどで、メイド喫茶で働いている子もいましたね。

部屋の雰囲気は悪くなかったです。共有のキッチンとダイニングがあって、そこでときどきだべったりしました。

私は個室に住んでいるマッサージ店で働いている子と、同じ部屋のメイド喫茶の子と仲が良かったんです。ある日、ダイニングでメイド喫茶の子と話していたら、マッサージ店の子が入ってきて、メイド喫茶の子の顔を見るなり、すごい剣幕でののしったんですね。

何が起きたのか分からずにポカンとしている間に、彼女は自分の個室に引き上げて、残ったメイド喫茶の子は泣いていました。話を聞くと、どっちもギリギリの生活をしているために、気持ちがささくれ立ちやすいのが原因でした。マッサージ店の子は(怪しいマッサージではありません)、店長をすごく尊敬していましたけど、たぶん、ブラックな職場だったんでしょう。メイド喫茶で、楽しそうに働いていて、そこまで激務そうに見えないその子に、うっぷんをぶつけていたようです。

どっちも悪い人じゃないと知っているので、2人がぶつかり合うのを見るのは辛かったです。私は就活が終わると同時に退去したので、その後どうなったのか分かりません。

家賃は月2万円だったと思います。ある日、茶髪でサングラスの長身の怖そうな女性が急に部屋に入ってきたことがあったんです。30歳くらいのたぶん契約社員をしている人が呼び出されて。家賃の督促だったんです。その人は毎日スーツ姿で一番早くに出勤して、夜遅くに帰ってきていました。家賃を滞納しているから、取り立てに遭わないように、あえてそうしたのかもしれませんけど。身ぎれいで、化粧もきれいにしていて、まじめに働いているように見えました。それでも家賃が払えないのかと、学生ながらに現実の厳しさに戦慄したのを覚えています。

私の貧困女子生活

私の人生が下り坂に入ったのは、思えばこのルームシェアのころかもしれません。就活で、なんとか1社だけ、そこそこ名前の知られている会社に滑り込めました。その時は喜んだんですけど、基本給が安いうえに、ボーナスがほとんど出ないんです。振り込まれたのに気づかないくらいでした。

2年目になっても、3年目になっても、手取りは20万円を切っていました。入社早々、地方勤務が決まり、仕事で使う車を自腹で買うように言われて、ローンを申し込みました。結構な額を毎月返済に充てていて、結婚を機に会社をやめ、夫のいる関東に引っ越したら、貯金はゼロになりました。

年度の途中だったんですけど、契約の働き口が見つかり、ほっとしました。でも、いい職場ではなかったです。上司が正社員か契約かを把握せずに人を使っていて、正社員並みに働かされ、でも福利厚生は何もついてない。帰宅時間がバラバラで、夜遅くまで残業することもザラでした。

辛かったのは、結婚後数か月して、夫に暴力を振るわれるようになったことです。もともとモラハラっぽいところはあり、冷静に考えれば結婚前に気づけたことだと思います。最初は、おかずの組み合わせがおかしいとか、自分が使いたいときに洗面所を使っているとか、言いがかりをつけられて、殴られました。

途中から、会社の退勤時間が分からないことに腹を立てるようになり、職場に居残っていると、携帯に電話してきて怒鳴り散らすんです。飲み会の日の門限は9時。都内の会社でしたから、7時台には電車に乗らないと間に合いません。だから飲み会は断りました。

友達がどんどん減って、夫があまりに荒れ狂うので、契約の仕事も自分でやめてしまいました。それからフリーになって、収入が新入社員時代を下回って、夫がさらに怒る。暴力に3年間耐えましたけど、限界が来て、家を出ました。これからどうするのか、まだ考えられません。