DV被害の妻から伝えたい身近なDVの現実

DV被害の妻から伝えたい身近なDVの現実

配偶者からのDVを3人に一人の女性が経験しているとご存知ですか。DVは決して他人事ではありません。3年間DVを受けた体験から、被害者が自ら抜け出すことの難しさ、周囲の目の大切さを痛感しています。

外に出られない今こそ知ってほしいDVの実際

f:id:dvdiary:20200405164922j:plain

コロナウイルスで外に出づらい状況が続いています。日本も含め、世界中で増えているのがDVです。加害者が家にいる時間が長くなり、生活リズムの変調や仕事の減少によるストレスを被害者にぶつけるからです。私自身は、3年間にわたるDV夫との同居から、コロナ流行直前に抜け出すことができました。もしあのまま留まっていたらと思うと、ぞっとします。DVが増える今だからこそ、多くの人にその実情を知ってもらいたい。身近に気がかりな夫婦や家族がいたら、放置せず行動してほしいと切に願います。

コロナウイルスの影響で絶望的な状況に置かれる女性たち

DV被害者の支援団体でつくるNPO法人「全国女性シェルターネット」がDVが増える恐れがあるとして、国に要望書を出しました。要望書を読んでいて、特に心が痛んだのは、相談者の次の言葉です。

「かねてからDVで母子で家を出ようと準備していたが、自営業の夫が仕事がなくずっと在宅し、家族を監視したりするようになったので、避難が難しくなり、絶望している」

nwsnet.or.jp

私は2月の後半にとるものとりあえず家を飛び出し、夫からいつ殴られるか、踏みつけられるか分からない生活に、別れを告げることができました。当時の私はまだ同居を望んでおり、半ば事故のような感じで家を出ました。もし踏みとどまっていたら、この女性のように絶望感に苛まれる日々を送っていたと思います。

私の夫も自営業で、コロナウイルスの影響が深刻になるのと、夫からのメールが過激さを増すタイミングは、恐ろしいくらい重なっています。電話やSNSはブロックしているため、唯一つながっているメールで、脅してくるのです。「居場所を特定することくらい、簡単にできる」とも言っています。

その一方で「感染者が増えているから帰ってこい」とも言います。それに対して「コロナウイルスの影響でDVが増えています。そういう状況で帰って来いと言うのは、殺人未遂ではないですか」と伝えたことがありました(本当は返事をすべきではないのですが)。夫の返事は「殺人未遂とはどういう意味ですか」。

女性の31.3%は配偶者からの暴力を経験

DVを受けながら同居していたとき、私はいつか夫に殺される、あるいは自分が殺してしまうと思っていました。あばら骨や腕、脚の骨が折れたと思ったことは何度もあり、頭から大量に出血したこともあります。DVがばれるのを恐れて、病院にはなるべく行かず、痛みに耐えられない時だけ、病院を変えながら受診しました。30代の前半ながら、整形外科や脳神経外科、精神科、眼科、耳鼻科の診察カードが、一つの科につき何枚もあります。

私がどれだけひどい目に遭ったかは重要ではなく、お伝えしたいのは、こういう被害に遭っている人間があなたの身近にいるかもしれないということです。国の調査によると、女性の31.3%は配偶者から暴力を受けたことがあり、13.8%は繰り返し暴力を受けています。

http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/data/pdf/dv_data.pdf

隣近所や知人、友人にDV被害者がいるかもしれないということを、心にとめておいてほしいのです。

私の夫は、まず怒鳴り声をあげ、物を投げつけ、壊し、殴りかかってきます。住んでいたマンションは築30年以上たっており、部屋の防音は完璧ではありませんでした。少なくとも両隣と下の階の方は、尋常でないことが起こっていると気づいていたはずです。特に窓が開いていた夏場は、口論のようすも聞こえたでしょう。ですが、近所の方から通報されたことも、注意されたこともありません。

気になったら通報や相談を

DV被害者は異常な状態に長時間置かれているために、精神的に不安定で、判断力が下がっています。通常だと同居があり得ない相手と同居を続け、大けがをさせられたり、殺されたり、逆に相手を殺してしまうこともあります。父親による児童虐待の多くが妻への虐待の延長線上にあることは、千葉県野田市の虐待事件などもあり、多くの方が理解しているのではないでしょうか。ああいう事件を見て「ひどい」と感じるだけではなく、身近にもあるんじゃないか、自分ができることがあるんじゃないかと考えてほしいのです。

もし、あなたがDVではないかと感じて警察に通報したり、行政の相談窓口などに相談したときに、被害者は否定するかもしれません。でも、だからといって、相談や通報を続けるのにひるまないでください。気にかけてくれる人がいることは、被害者にとってはどこかで心の支えになります。加害者に次の暴力を踏みとどまらせる効果もあるでしょう。DVは個人の問題、家庭の問題という古い考え方は捨てて、行動してほしいのです。

DVの基本的なことを知りたい方は、下のリンクが分かりやすくまとまっています。

www.city.takasaki.gunma.jp

DVについて既に心当たりがあったり、相談を受けている方でより深く知りたい方には『DV・虐待加害者の実態を知る』が分厚いですが良書です。図書館の男女共同参画のコーナーにはだいたい置いてあるのですが、閉館中のところが多いので、情報を必要とされる方は購入をお勧めします。

DVの増加について、「ストレスが増えるからDVが増える」と当然のことのように紹介する論調には、反発を感じます。家族への暴力は、いかなる理由であれ、許しがたいものです。外出自粛で暴力が増えるのは、現実としてそうだけれども、本来はあってはならないことだともっと伝えてほしいです。

当ブログは、私自身が経験から感じたこと、被害者の周囲の方にお願いしたいことなどまとめて参りますので、お付き合い頂ければ幸いです。