DV被害の妻から伝えたい身近なDVの現実

DV被害の妻から伝えたい身近なDVの現実

配偶者からのDVを3人に一人の女性が経験しているとご存知ですか。DVは決して他人事ではありません。3年間DVを受けた体験から、被害者が自ら抜け出すことの難しさ、周囲の目の大切さを痛感しています。

木村花さんの訃報にネットでの加害とDVの共通性を思う

木村花さんの訃報にネットでの加害とDVの共通性を思う


プロレスラーでテラスハウスに出演していた木村花さんが23日に亡くなりました。番組出演をきっかけにSNSで批判を浴び、それに耐えかねてこととみられます。私自身は、訃報のニュースに接して初めてそのことを知りました。木村さんに向けて発されたツイートのあまりのひどさに、人間はこんなに残酷になれるのかと感じます。そして、DV加害者の言動と、木村さんを叩く側に回った人たちのツイートがダブって見えます。

 

news.nifty.com

DV加害者と変わらない行動様式

この人たちのやっていることは、DV加害者と変わらないじゃないか。

訃報の報道を見て、私が真っ先に感じたことです。世の中、DV加害者と潜在的なDV加害者はごまんといます。でも、ツイッターで彼女に死ねとか言った人たちのかなりの部分は、ふだんの生活では、加害者でもなければ潜在的な加害者にも分類されないのだと思います。

実名で活動する木村さんに、匿名アカウントで自分が特定されないのをいいことに、これでもかとばかりに罵詈雑言と誹謗中傷の言葉を浴びせかけたのでしょう。

そして、そういうアカウントが続々消されているそうです。自分の行為が招いた最悪の結末に責任を負う気は全くないのですね。

 

news.yahoo.co.jp

感情的に見えて極めて冷静な加害者

DVの話をすると、加害者は被害者が逃げにくい状況を作ったうえで、攻撃を始めます。私の夫は、結婚・同居を始めた数か月後から暴力をふるい始めました。本人は否定しますが、結果論としては、夫はとても計画的な行動をとったわけです。

加害者は相手がどう感じるかということを冷静に見極めます。相手を混乱に陥れ、加害者に非があるにも関わらず、被害者に自分を責めさせる。近所から通報されないように、暴力をふるう時、怒鳴るときは窓を閉める。物を投げるときは、自分のものではなく、相手の持ち物を選んで投げる。

感情的に行動しているように見えて、極めて冷静なのです。これは、ネットで誹謗中傷をした人たちにも、通じることだと思います。自分が安全な場所を確保し、何の防御もできない被害者に暴言を浴びせる。何の被害も被っていないのに、自分こそが被害者であるかのように装う。そして、本当の被害者が自責的にならざるを得ない状況を作る。

こういう加害者の特性はDVに限ったことではなく、ブラック企業とか、今回のツイッターでの誹謗中傷にも通じるものだと感じます。

 

相手のダメージを分かったうえで攻撃する

木村さんが自傷行為をうかがわせる投稿をしたときも、それをばかにするようなツイートが寄せられたとか。私がDV被害で自傷行為が止まらなかったときも、原因である夫は「気持ち悪い」と言いました。相手がどれだけ追いつめられているか、よく分かったうえで追い打ちをかける。そこまで追い詰められた被害者が、反撃できるはずはありませんから。加害者にとっては一方的に相手を殴りつけ、踏みにじるチャンスです。

ツイッターで木村さんを追いつめた人たちは、自分が発する言葉の破壊力を十分認識したうえで、安全地帯から彼女をひたすら追いつめていったのでしょう。亡くなってしまうかもしれないこと、大変な事態になるかもしれないことは織り込み済みのはずです。それで、本当に亡くなってしまったら、アカウントを消す。

私のDV被害に話を戻すと、もし打ちどころが悪くて死んだら、夫は事故死に見せかけるためにあらゆることをしたと思うのです。あるいは正当防衛か。

加害者は冷静で残酷です。ネット上は実生活より攻撃性が多少高まるにしろ、これほど多くの加害者が木村さんを打ちのめし続けたことに、空恐ろしさを感じます。