DV被害の妻から伝えたい身近なDVの現実

DV被害の妻から伝えたい身近なDVの現実

配偶者からのDVを3人に一人の女性が経験しているとご存知ですか。DVは決して他人事ではありません。3年間DVを受けた体験から、被害者が自ら抜け出すことの難しさ、周囲の目の大切さを痛感しています。

日本年金機構が名簿業者に個人情報を開示していました

日本年金機構が名簿業者に個人情報を開示していました

夫からのDV被害に遭い、別居して住民票を移し、警察に相談したうえで閲覧制限をかけています。そんな私の携帯に、全く知らない会社から営業電話が掛かってきて、個人情報が名簿業者によって売られていると分かりました。国が設置した個人情報保護委員会に電話すると、名簿の売買は合法で、私は削除を求めることはできるけれども、そのためには名簿会社に本人だと証明する書類の提出が必要だと言われる。……なんて仕組みなんだと憤りつつ、名簿業者に電話し、さらに信じがたいことが発覚したのでした。

 

「年金機構から比較的簡単に入手できます」

名簿から情報を消してほしいし、どうやって情報を入手したのかも知りたい。ということで、個人情報保護委員会のホームページから調べた名簿業者の番号に電話しました。

代表電話は感じのいい若い女性が出ました。最初、私が何の目的で掛けたのか分からなかったようで、話をすうるちに「あ、これはやばい」みたいな反応になって、「申し訳ございません」のお詫びモードに。「名簿から削除します」と言われて、それは当然なんですけど、どこから取ってきた情報なのか知りたいから調べてほしいと伝え、担当者から折り返しをもらうことになりました。

それで、翌日に言われた内容が、こうです。

 

名簿業者 情報の入手元を知りたいとのことですが、年金機構から開示請求致しました

 

 年金機構って、あの、日本年金機構ですか?

 

名簿業者 そうです

 

 ……それって、認められていることなんですか?

 

名簿業者 はい。比較的簡単に入手できますので

 

 (絶句)

 

想像しなかった答えに、いつ入手したのか聞くのを忘れました。名簿に載っている情報はその日から消すということでした。ただ、身分証の提示も求められなかったし、本当に消したかどうかは神のみぞ知るです。

電話を切る前に、担当者の所属部署と名前を聞いたら、所属部署をかなり言い渋っていました。ひとまずメモはしましたけど、かなり適当に言っている感じでした。一体どういう会社なんでしょう。

 

本部と事務所でたらい回し

日本年金機構から個人情報が洩れる。そんな可能性を考えたこともありませんでした。早速、代表電話に掛け、名簿業者が私の情報を開示したと言っているが、どういうことかと聞きました。「それは大変ですね。ご迷惑をお掛けしました」と言われ、「個々の開示をしているのが管轄の年金事務所になります」と所轄の事務所の番号を教えられました。

それで、回線が混んでいるのを粘ってなんとか担当者につながりました。そして、なぜ私の情報が洩れたのかが分かりました。

私は前にも書いたように、結婚を機に会社を辞め、契約になりました。しかし、帰宅時間が一定しないのにストレスを募らせた夫からの攻撃に耐えかねて契約も辞め、フリーつまり自営業者になりました。そして自営業者になって2年目に事業を法人化しました。いわゆる1人社長というやつです。

理由は儲かっていたからではなく(涙)、取引先の一社から、個人だと取引を継続しづらいと言われたからです。数少ない取引先の中で、そこは結構発注をしてくれていました。取引がなくなるのは痛手です。できるだけお金がかからないように工夫して、法人化しました。ただ、法人を立ち上げた途端、取引額が減るという、あるあるなオチがついています。

ともあれ、法人化したので、それまで国民年金だった私は厚生年金に入ります。そのために、厚生年金が適用される事業所として、年金事務所宛に手続きをしたのです。すっかり忘れていました。そして、そのときに提出した情報が、開示されていました。

 

年金事務所職員 会社の名前と所在地、事業主の名前と電話番号は、請求があれば開示することになります

 

 あの、でも名簿業者として、個人情報の売買をする届けを出している業者にも開示するのですか

 

職員 開示については、(日本年金機構)本部が一括して決めていまして、こちらはその手続きをするだけなので、本部に聞いて頂かないと分かりません

 

 その本部から、こちらに電話するように言われたのですが

 

職員 これからお伝えする番号に再度お電話して、開示請求の件で本部の職員と話したいと伝えてください

 

で、本部に電話しました。そして、返事がこれ

 

本部では開示請求のお問い合わせは担当しておりません。年金事務所にお問い合わせください

 

殺意を抱くレベルのたらい回しです。どう食い下がっても電話をつないでくれず、また年金事務所に電話。ずいぶん待たされてやっと先ほどの職員につながりました。それで、年金事務所から本部に問い合わせを入れることになり(最初からそうしてよ)。本部と事務所を、電話で二往復させられたことになります。

 

名簿業者かに関わらず一律で開示

しばらく待って、日本年金機構から電話がありました。

 

職員 事業所の開示請求があると、一律に回答しております。一定の線引きをして情報を提供しております(何言っているのか分かりませんが、名前と住所と電話だけ提供するという意味です。たぶん)

 

 請求先が明白に名簿業者であっても開示するのですか?

 

職員 請求を頂いたら、開示しなければなりません

 

 開示を受けた人が名簿にして売ってもいいんですか?

 

職員 開示した相手がどういう用途に使うかまでは管理できません

 

 それって、おかしくないですか

 

職員 開示をめぐっては議論があります(この「議論があります」という言葉、お役所は好きですね。私は嫌いです。行政がいろんなことを議論しているというポーズだけとって放っておいたお陰で、私はいろいろ被害に遭ってきたと思っています)。この7月からは開示しないことになる見込みですが、まだわかりません

 

 法律が変わるということですか?

 

職員 いえ、開示については内規で決めております。ですので、変わるかどうかもまだ分かりません

 

 (それ、言う必要なくないですか?)あの、ほかに名簿業者で私の情報を開示したところがないか、調べて頂きたいです。名簿に掲載しないように手続きしたいので

 

職員 そうですか。ただ、開示請求のデータが本部と年金事務所にまたがるので……(すごく面倒くさそう)。それから、月に100件くらい、開示請求が来ている状態なのですね。「○○年金事務所管内の新規開設事務所の情報を開示してください」と

 

 !

 

管轄内の新規開設の事務所を全部知りたいって、それ、名簿業者以外にニーズ、ありますか?私の頭で考えられる範囲では、ないです。つまり情報を売り飛ばすのが分かっていて、せっせと開示請求に応じているらしいのです。この日本年金機構の厚生年金の所轄課は。信じられません。こんなことが普通で、許されて、いいのですか?

 

開示した業者の情報は守秘義務があって伝えられない

そして、他に開示した業者について、折り返しの電話がありました。

 

職員 開示請求をした業者についてですが、お伝えすることができません

 

 なぜですか?

 

職員 開示者には守秘義務があります

 

 え?事業所の情報を開示するように請求した業者の情報は守秘義務があるっていうことですか?

 

職員 そうです。内規でそのように決まっております

 

いや、意味わからないよ、その内規。こっちが丸裸にされているのに、開示を求めた名簿業者の情報は教えないって、どういうこと?個人が一つの会社の情報を求めたんだったら、まだ請求者を秘匿するのは理解できます。でも、「年金事務所管内で新規開設した事業者の情報全てください♪」とか言っている業者を保護する意味が全く分かりません。

全然腑に落ちませんが、内規なのだそうです。そして、最後に言われました。

 

職員 この度はご迷惑をお掛け致しましたっ!

 

この言葉だけ、勢いをつけて仰っていましたね。この方、一体何人に同じことを言ってきたのでしょう。これからも何度でも繰り返すに違いない謝罪を口にされても、むなしいだけです。謝罪はいらないので、謝らなくていい状態にしてください

 

女性の自営業の法人化は個人情報の面で最悪

法人化して気付いたのですが、個人情報の保護の面で、法人化は最悪です。会社の所在地と自宅住所については、誰でも情報が取得できるのは承知の上で、法人化しました。ただ、電話番号は想定外でした。私のような一人社長は少なくなく、ホームページに電話番号を掲載しない会社は増えています。にもかかわらず、年金機構からダダ洩れなわけです。

国は熱心に起業を勧めていますが、実際のところ、起業したらリスクは増えます。特に私みたいにDV被害とか、あとはストーカー被害なんて最悪です。そもそも被害のターゲットになりそうにないおじさんばっかり会社を経営している時代は、今のしくみで良かったのでしょうけれど。

今後、フリーから法人にという流れは、税制の変更もあって一層強まると思います。そういうときに、今のしくみでいいのでしょうか。私は全然よくないです。

 

※今、起業を考えていて、電話番号を秘匿したい方は、7月以降に厚生年金を適用する手続きをした方がよさそうです。ただ、内規が本当に変わるのか分かりませんから、事前に日本年金機構の厚生年金保険部に問い合わせるのが確実です